贈答歌は、お中元やお歳暮として歌が贈られてくることではありません。和歌を使った会話です。今は、メールで何気ないやりとりをしますが、それに近いようなことが和歌を使って行われていたのです。ですから、贈答歌は、『源氏物語』はもちろん、『伊勢物語』や『和泉式部日記』など、どの作品にもたくさん出てくるのですが、今回は、『後撰和歌集』を素材にしましょう。
『後撰和歌集』は、『古今和歌集』の次の二番めの勅撰和歌集として村上天皇の命によって編纂されました。『古今和歌集』は最初の勅撰和歌集として格調が高く、すごく気合いが入っているのですが、『後撰和歌集』は、それとは反対の、肩の張らない、日常の雅びなやりとりが多いのが特長です。
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